三線の弾き方
◆三線の構え方◆
三線を弾く時の構え方には、座る時と、立つ時の二つがあります。とくに初心の方の場合、肩に力が入りがちです。慣れるまで意識して力を抜いてください。
1.座る時
正座する場合とイスに座る場合がありますが、いずれの場合も三線の太鼓の側面を太ももに乗せ、右腕を手の甲が上になるように、太鼓の上、少し右寄りにティーガーと十字になるように乗せて固定します。手首が5cmくらい前に出ます。
左手は、小さい前倣えの時のように5本の指を前方へ向け、人差し指の付け根あたりに棹と乳袋の境目のくびれのところを乗せ、親指は斜め後ろから棹の上につけます。棹の前方には4本の指の部分だけが出るようにします。くれぐれも棹を握ったり、親指・人差し指の間のまたのところまで棹を持っていかないようにします。
棹は体に平行に、天のところが肩の高さに来るように斜め45度くらいに傾けます。太鼓と体はくっつけず、握りこぶし一つくらいは開けます(ネコが通れるくらいという方もいます)。ひじと脇のあいだも握りこぶし一つくらい開くようにゆったり構えます。
両足のひざの開きは、正座の場合、握りこぶし二つから肩幅くらいでしょう。イスに座った時もそれに準じます。大また開きにならないように。女性の場合は着る物でも変わりますので、開く幅は調整してください。
初めの頃はどうしても手元を確認したくなりますが、声を出して唄う姿勢ですから、背筋を伸ばして前を向き、猫背にならないようにします。
2.立つ時
立ち弾きの構えは各研究所、研究所の中でも個人個人でまちまちです。ここでは、私の構え方をご紹介します。
太鼓を右の腰骨に乗せるようにして右腕ではさんで固定します。右腕の位置は、腰骨と対角のあたり、座ったときよりさらに右寄り、猿尾の近くなります。左手は座った時と同じです。太鼓の裏は体にくっつけませんので、表がやや下向きに(10〜20度くらい)傾きます。
棹の天の位置は座る時よりも下がって構いませんが、棹が水平になるまで下げるのは行きすぎです。ことによると、右肩が下がり気味のなることがあるので注意してください。
足は肩幅くらいの開き具合がいいでしょう。大または見た目が悪いです。女性の場合はもう少し狭くし、左足を半歩前に出すようにすると見た目が良いようです。
とくに立って構える時は、お尻をきゅっと閉めるようにし、胸を張ってください。
いずれの場合も、数人で並んで演奏する時には、棹の角度が同じになるように注意してください。見た目の美しさは大事です。
◆バチの扱い方◆
バチは、水牛の角で作った爪、ギターのピック、自爪などがあります。とくに爪の場合が要注意なので、これを中心に説明します。
1.持ち方
持ち方は、各研究所、研究所の中でも個人個人でまちまちです。ここでは、私の持ち方をご紹介します。これは、当店の三線体験で説明しているのと同じ中身です。
爪には指を入れる穴ともう一つ小さな穴があります。まず、小さな穴の側を親指で、反っている側を中指ではさんで持ちます。次に、薬指と小指を握ります。最後に人差し指を上の穴に入れるのですが、すっぽり入れるのではなくて、少し入れて爪先を穴の向こう側の壁に押し付けるように指を伸ばし、爪が半分くらい見えるようにします。親指を爪の先のほう、中指は爪の反った部分の真ん中辺に持ってきます。
全体として指を伸ばすように持ちます。握り締めるようにすると、人差し指がすっぽり入ってしまい、弾いているうちに指が痛くなったりしますので、痛くならないように持ってください。
2.構え方
手首をかなりきつく曲げ、手の平が自分の顔にほうに向くようにします。爪が弦に対して若干斜めに当たる感じです。この時、小指を太鼓につけて支えることはしません。せっかく太鼓を鳴らしているわけですから、皮の響きを押さえるようなことはしてはいけません。また、爪のさばき方も手先だけのものになりがちですので、薬指・小指は握って、太鼓を触らないようにします。
3.さばき(動かし)方
爪を太鼓の縁とウマの間の真ん中あたりに置き、構えた手首を腕を軸に回転させるように爪を上から下へ動かします。爪は太鼓の面に平行に移動します。こうして、男弦を弾く時は中弦で止め、中弦を弾く時は女弦で止めます。女弦は爪を下におろし、あまり弦から下に離さずに止めます。
このように下の弦で止めるというのが三線の弾き方の一番大きなポイントです。はじかないことが大切。弦をはじいて音を出そうとするのではなく、手首を回転させながら親指で弦を押す感じで、爪を下の弦に下ろすだけで音は出ます。そして、力を抜かずに下の弦にしっかり乗せておくようにします。そうしないと弾いた弦に爪が触れて、余計な音を出したりするので注意してください。
このさばき方をしっかり身につける練習はいくらやってもやりすぎということはないくらいです。早弾きする時にこそ、このさばき方の真価が出てきます。
◆弦の押さえ方◆
弦を押さえる指は、人差し指、中指、小指です。薬指は基本的に使いません(もちろん、例外はあります)。弦を押さえるのは指の腹ではなく、頭です。指の爪はきちんと切っておかないと頭で押さえられません。小指の頭で押さえるのが難しい場合は、腹で押さえるのも良しとします。
押さえる時は、手の平で棹を支えず、掌(たなごころ)は十分に棹から距離を取ります。押さえる指だけを弦のほうに持っていき、他の指は無理なくなすがままにしておきます。丸めるようにして、弦の側に持っていきません。棹を握るような形は、言い過ぎかもしれませんが、ギターを弾ける人が三線を弾く時に出てくる良くない形です。
三線にはコード奏法はなく、勘所を工工四に従って一箇所一箇所押さえて弾いていきます。とくにゆっくりした曲の時などは、開放弦を弾く際、指を伸ばして、元の構えの位置に戻しておくくらいがいいのです。むしろ、こうすることによって音と音の間に適度な間隔を開けることができるようになり、正確なリズムを生みだします。
三線音楽を嗜む方のなかには、上手な唄い手の左手の動きに注目すると言う方もいます。左手が唄うとも言うようです。
早弾きの時は少し違って、押さえた指を弾き終わった後あまり棹から離し過ぎないように、無駄な動きのないようにします。弾いた後に指を伸ばすようにすると、バタバタして忙しい感じになります。
◆声の出し方◆
三線を弾くということは、唄うということです。稽古の時も唄いながら弾いて練習します。ですから、曲のメロディーを知らないと稽古できません。まず、師匠の唄を聞いて覚えるか、CDなどで勉強します。
唄う時に、まず大切なのは、声の出し方です。唄う声は姿勢をきちんとしないと出てきません。背筋を伸ばして、下腹(丹田)から声を出すようにします。遠くの人を呼ぶような感じです。鼻にかけず、口の前に音を出すように心がけます。稽古場ではとにかく大きな声を出してください。
◆稽古の勘所◆
まずは先生の真似です。学ぶは真似ることだとはよく言われることですが、三線の場合も例外ではありません。右手の爪のさばき方、左手の弦の押さえ方、動かし方、声の出し方、唄の節入りなど、学ぶ=真似ることは山ほどあります。真似るためには、よく観察することが必要です。目を凝らし、耳を澄まして観察してください。
稽古は毎日やることに越したことはありませんが、少なくとも一週間に一度は練習したほうがいいでしょう。週に一度、先生のところで稽古があるならば、そのあいだに一度は家で弾いていないと、腕はあがりません。
先生の唄を聞くのは当然ですが、他の歌い手の唄もたくさん聞いてください。今は、CDもたくさん出ていますし、古典なら練習用テープとか全曲集とかもありますから、とにかく数多く唄を聞いて、耳を慣らすことです。とくに、県外の方は、耳に馴染みのない曲と言葉を練習することになりますから、そのハンデをなくすためにも聞きまくることです。好きな曲ができると、その曲が弾きたくなり、弾けるように練習にも身が入るというものです。
また、練習仲間を作って、お互いの唄い方、弾き方について指摘しあうのも良いでしょう。一人で練習するときも、たまに鏡を見て、構え方など確認してください。
唄う時に顔に力が入って恐い顔になっている時があります。唄は聞いてくれる相手のあるもの、相手に届くようにという気持ちで唄うと、表情も和らぐかもしれません。
最後に、以上述べてきたことは、私たちの経験から基本的と思われるポイントです。三線を弾くのに力が入らず、疲れず、美しい形だと思っています。最初はたいへんですが、慣れるまで頑張ってください。
